となりのAI ・ 実装シリーズ ・ 第2回
前回は「なぜAIを使うのか」。今日は、その一番強い使い方。
自分の道具を、自分で作る。なぜ今それなのかを話します。
まず、視野を上げる
SFは、もう
"観て待つもの"じゃない。
これまでは、映画で未来を観てワクワクしていました。
今は、その未来が作られていく過程の中に、自分がいる。
続きを待つより、今このときのほうが、おもしろい。
未来を、ただ待つ時代ではなくなりました。
「ひみつ道具は、誰かがくれるもの」でした。今は、自分で作れる。しかもこれは医療の外で、もう普通に起きていることです。
専門家でなくても、自分の道具を自分で作る。次は、実際に作っている人たちを見てください。
出典: Vercel / Carta Solo Founders Report 2025 / Sacra(Cursor ARR)
世界で話題
ゲーム未経験が、3時間で
Pieter Levels氏がAI(Cursor)だけで飛行ゲームを制作。数週間で月5万ドル超の収益に。イーロン・マスクが拡散し、ゲームに火星が足されました。
3時間 → 月$50K
日本の現場
非エンジニアが、社内ツールを
ある企業では非エンジニアの社員が24時間で社内のファイル転送ツールを自作し、外注費を削減。個人がアプリを公開して収益化する例も、続々と。
24時間で1本
あなたの隣
医師が、自分の道具を
日々の困りごとや、覚えにくいことを、自分にぴったりの小さな道具に。コードを書かずに。題材は、自分の臨床から湧いてきます。
題材は自分の臨床
There's a new kind of coding I call "vibe coding", where you fully give in to the vibes, embrace exponentials, and forget that the code even exists.
訳: コードが存在することすら忘れて、流れに身を任せる。そんな新しいコーディングを「バイブコーディング」と呼んでいる。(この言葉が生まれた投稿)
I've never ever made a game before and just made my own flight simulator 100% with Cursor in I'd say 3 hours by just telling it what I wanted. It didn't go 100% smooth ofc, but 80% yes…
訳: ゲームなんて一度も作ったことがない。なのにCursorに「こうしたい」と言うだけで、3時間で自分の飛行ゲームができた。もちろん100%スムーズとはいかなかったけど、8割はうまくいった。
どちらも、QRから本人の投稿をそのまま読めます。盛っていません。
世界の最前線と、あなたの机は、地続きです。同じ時代の、同じ技術の、両端にいる。
だから
観客席に座っているのは、
もったいない。
これだけのことが、数年のうちに起きる時代です。
観ているだけでも、十分おもしろい。
でも、せっかく同じ時代に立っているなら、自分も作る側に回れます。
その第一歩は、すぐ目の前に。
第1回で見た「AIは能力を拡張するパートナー」。それを一番濃く受け取るのが、作る側に回ることです。
今、インターネットの世界で動くものは、ほとんどすべてコードでできています。そして、コードは「言語」です。
現代で「ものを作る」とは、もうコードが欠かせない、ということです。
$ npm run build
async function getDrill(user) {
const q = await db.query(sql);
return q.filter(x => x.weak);
}
› compiling 1042 modules…
これまでコードは、真っ暗な画面に、呪文のような文字をカタカタ打ち込むもの。覚えることが多く、エンジニアという専門家のものでした。
だから多くの人が、「自分には関係ない」「作る側にはなれない」と思っていました。
もう、カタカタ打つ必要はありません。日本語で話しかける。会話する。それだけで、コードができます。
それがバイブコーディング。AIと一緒に作っていく過程です。アイデアと起点さえあれば、いい。「このデータを持ってきて」と頼むのも、もう特殊なスキルは要りません。
増やす側に回る
自分の道具を、
自分で作る。
私も、最初は
半信半疑でした。
私は小児科医です。コードは、書けません。でも、外来でくり返していた「これ面倒だな」を、話しかけて道具にしてみた。半日で、動きました。それから、日々が少し変わりました。特別な人の話では、ありません。
どれもコードを書けない人が、話しかけて作ったもの。そして今、実際に世界で使われています。
社会課題 ・ ブラジル
女性の安全を守るアプリ
マーケターの Sabrine Matos 氏がLovableで45日。公的記録から身を守れる「Plinq」。今や2.5万人超が使い、200件以上の危険を未然に防いでいます。
未経験 → 45日で公開
Anthropic 公式
話すだけで作った道具を、公開
ClaudeのArtifactsでは、非開発者が話しかけて作った学習アプリ・データ分析・暗記カードなどが、その場で動き、共有もできる。Anthropic自身がギャラリーで公開しています。
話す → 即・動く
個人の困りごと
ヨガ教室の予約システム
コーディング未経験の創業者が2時間で予約システムを構築。ログイン・カレンダー・決済つきで、その週のうちに公開しました。
2時間で公開
百聞は一見にしかず。3時間でAIだけで作られた飛行ゲームは、今も誰でも遊べます。スマホで読み取って、確かめてください。
研修医の鑑別を、そのまま信じずに確かめる。AIが書いたものを「診る」のも、まったく同じ動作です。
何を作るべきか、本当に正しいか。それを判断するのが、これからの中心です。その検証こそ、医師の本領。「動けば完成」は、医療では通用しません。
普通、アプリを作る人と使う人は別です。でも私たちは、自分の困りごとを、自分で形にして、自分で毎日使える。
何が要るか、何が要らないかを、誰よりも知っている。だから、誰よりもいいものが作れます。
自分の臨床から、題材はいくらでも湧いてくる。
これは、他の誰にも真似できない、当事者性という強みです。
第1回の「タスクの切り分け」を、毎回その場で宣言する実践版です。
体験の段(Lv1)では、全部任せていい。でも保存したり、人に見せ始めたら、握る範囲を自分側に戻す。
任せ方を自分で決められるようになる。これも、この講座で身につけることです。
次は、
あなたの番です。
次回から、バイブコーディングで、あなた自身のものを作りはじめます。観るだけで終わらせず、手を動かす。そこから、変わっていきます。
今日できること。Claudeを開いて、「外来でよく使う○○を、かんたんな入力フォームにして」と話しかけてみてください。それだけで、始まります。