となりのAI ・ 実装シリーズ

任せて、育てる

医師のための、AIの任せ方。
「どこまで任せていいのか」に、今日から使える6つの術で答えます。

となりのAI ・ 実装シリーズ ・ AI活用術
となりのAIRecap → Today

「使う」の、その先へ

前回からの引き継ぎ

前回の最後に、こう言いました。毎回、どこまで任せるかを自分で決める。アクセルとブレーキを、その都度、踏み分ける、と。

今日は、その先です。決めるだけでなく、どう任せて、どう育てるか。

よくある答えを、先に片づける

「人間がちゃんと確認すればいい」。正しいです。でも、これだけだと、ふわっとしすぎて、明日は使えない。

だから今日は、もう一歩、具体の術に落とします。

となりのAIToday's Map

今日の、6つの活用術

AIを「使う」だけなら、もう誰でもできる。差がつくのは、その先。任せて、育てられるかです。

術 1任せ方を、毎回決める
術 2背景ごと、渡す
術 3 ・ 芯一回で、終わらせない
術 4ミスゼロを、やめる
術 5柵を、先に引く
術 6良いものは、回し続ける
となりのAI術 1 ・ Autonomy

任せ方を、毎回決める

任せ方スライダー:握る↔任せる

「全部任せる」か「全部自分で」かの二択ではない。試すときは右へ、保存・共有を始めたら左へ。毎回、ツマミを動かす。

となりのAI術 2 ・ Context

背景ごと、渡す

厨房に、レシピと材料を揃えてから任せる 頼む前に材料を渡す:病名リスト・過去の良い説明文・参照資料→AI

料理人に「いい感じに作って」だけでは、いいものは出てこない。うまくいかないのは、頼む言葉でなく材料を渡していないから。プロンプトを磨くより、背景を渡すほうが効く。

となりのAI術 3 ・ The Loop ・ 芯

一回で、終わらせない

研修医を、初日の一回で見限る先生はいません。AIも同じ。出来で判断せず、ループで育てる。

育てるループ:任せる→出る→評価する→直す→また任せる

信頼は最初から在るものでなく、回すほど育つもの。新人が一人前になるのに時間がかかるのと同じです。

となりのAI実演 ① ・ 診療と学習
▶ 私の画面 ・ LIVE

話しかけるだけで、説明文ができる

Claude ・ 外来のあいまに
溶連菌を、小学生の子ども本人にもわかる言葉で、こわがらせずに説明する文を作って。短く。
考え中
CLAUDE
のどに「ようれんきん」っていうバイキンがついて、のどが赤くはれて痛くなったり、熱が出たりする病気だよ。お薬をちゃんと最後まで飲めば、よくなるから大丈夫。とちゅうでやめないで、のみきろうね。
実演 ① ・ 診療

困りごとを、そのまま話すだけ。

1一言で頼む
2出た文を、自分の言葉で直す
3次から、同じ型で何度でも
▲ 本番は岡本さんの実画面(ライブ画面共有)に差し替え
となりのAI実演 ② ・ 事務と経営
▶ 私の画面 ・ LIVE

領収書を、まとめて会計に登録する

Claude Code ・ ターミナル
先月の領収書フォルダを読んで、freeeに経費で登録して
領収書 12件を読み込み…
勘定科目を推定: 消耗品費5 / 会議費3 / 旅費交通費4
✓ freee に 12件 登録しました
! 1件、科目があいまい → 確認してください
実演 ② ・ 事務

最初の月は外した(経費が売上に等)。直して、また回す。二回目はもう間違えない。

1一度、仕組みを頼む
2間違いを指摘して直す
3毎月、勝手に回る
▲ 本番は岡本さんの実画面(ライブ画面共有)に差し替え
となりのAIWhy It Works

Frontier Firm ・ なぜループにこだわるのか

タスクは、渡せる。
でも、学習は、渡せない。

モデルは大手が作る。ただ使うだけなら、誰がやっても同じで、差にならない。差になるのは、自分のループを回した経験。頼み方も、渡す材料も、止める線も、そこにたまる。

となりのAI術 4 ・ Benchmark

ミスゼロを、やめる

人間5件/100 vs AI2件/100:ミスゼロでなく人間と比べる

比べる相手は「完璧(ゼロ)」でなく、今、人間がやったときの正解率。だからM&Mで次に活かす。AIも同じ物差しで。※件数はイメージ。率は仕事による。

となりのAI術 5 ・ Guardrails

柵を、先に引く

AIに任せてよい範囲を3本の柵で囲う:触らせないデータ・必ず確認する操作・説明できないものは出さない

任せる前に、やってはいけない線を先に引く。止め方を決めておけば、安心してアクセルを踏める。

となりのAISafety ・ これだけは外さない

これだけは、外さない

その柵の中で、医療では、この2つだけは絶対に外しません。ここは、私たちがいちばん訓練されてきた所です。

安全ライン
  • 01患者情報は、入れない。氏名・生年月日・ID・所見は、AIに渡さない。
  • 02出てきた数字は、必ず添付文書で確認する。用量も検査値も、AIの答えをそのまま信じない。
となりのAI術 6 ・ Reuse

良いものは、回し続ける

良い成果物をテンプレに保存し、少し直して回し続ける=資産が積み上がる

良い説明文・教材・チェックリストは型にして回し続ける。一度作った仕組みは、使うほど積み上がる資産です。

となりのAIWho Checks

責任は、先に決める

最後に診るのは、
誰か。

個人なら、全部自分。でもチームや組織で使うなら、誰がどこまで確認するかを先に決めておく。曖昧なまま任せると、何かあったときに止まります。機械の責任を誰が持つかは、工場ができた200年前から続く、古い問いです。

となりのAITake Home

今日の持ち帰り

任せて、育てる。

任せる→ 評価する→ 直す↻ また、任せる

6つの術は、ぜんぶこの一周に戻ってきます。AIに「任せられるようになる」のがゴールではなく、AIを「育てられるようになる」。ここが、本当の価値です。

となりのAIYour Turn

次は、あなたの番

いつもの仕事を、ひとつ、
AIに任せてみる。

外来の小さな書きもの。学会の準備。メールの下書き。何でもいい。そして、一回で終わらせない。出てきたものを見て、直して、もう一回。そこから、変わります。

01 / 16